インプラント治療とは、虫歯や歯周病の進行、打撲などの外傷のほか、先天的な原因などにより歯を失った場合に、歯が抜け落ちたところの歯槽骨にインプラントと呼ばれるチタン製の歯根に人工の歯を埋め込む治療法です。
インプラント治療は、なくなった歯が一本の場合から、すべてなくなった場合まで有効です。
インプラントに使われるチタンは、アレルギーも少なく、かみ合わせに耐えられる強度があります。チタンと骨が結合するのでしっかりと固定することができ、治療後は違和感がないため、天然の歯と変わらないかみ合わせを実現できます。
また、残っている他の歯を削ったり、装置をつけたりすることもありません。他の歯に負担をかけずに治療ができるのです。
違和感がない
インプラントは入れ歯のような異物感が無く、取り外す必要もありませんので、自分の歯と同じように自然に噛むことができます。
自然の歯と変わらない噛み心地
入れ歯はお口の中でも痛みを感じやすい歯茎が噛む力を支えているため、自然の歯の20%~30%の力でしか噛めません。しっかりと調整できていないと違和感が強いケースもあります。直接骨に固定するインプラントなら、自然の歯と同じ力で、しっかり、違和感なく噛むことができます。
周りの歯にやさしい
部分入れ歯等は、しっかりと固定するために隣の健康な歯にバネをかけて使用します。そのため、周りの健康な歯に負担が掛かったり、バネの部分にプラーク(歯垢)が溜まりやすくトラブルの原因になったりします。
インプラント治療は、入れ歯やブリッジ治療のように、周りの歯に負担を掛けることがないので、隣の歯を守ることにも繋がります。
1.インプラントカウンセリング 約30分~1時間
まずは皆様のお口の中をしっかりと検査いたします。検査の結果、インプラント治療に問題がなければ、インプラント治療の流れ、費用等をご説明いたします。治療内容、費用をご承諾いただけましたら治療を開始いたします。
2.治療前の精密検査
皆様のお口の状態をより精密に検査するため、CT写真を撮影します。
[ 歯科用CTとは ]
CTとは、コンピュータを使用してデータを処理・画像を再構成、断層写真を撮影することができる装置です。
新しく開発された歯科に特化した最新装置で、より正確な診断に役立つことはもちろん、経過観察などにおいても非常に有効な装置です。
3.インプラント埋入手術(1次オペ)
検査・診断結果を元に、インプラント体を骨へ埋入する手術(1次オペ)を行います。
皆様のお口の状態に応じて、骨の造成治療(骨の高さや幅を追加する処置)を同時に行います。手術は日帰りで、麻酔を使用いたしますので痛みも無く安心してお受けいただけます。
インプラントを骨に埋め込みます。痛みもなく、手術は日帰りで完了します。
インプラントが周囲の骨と、しっかり結合するまで待ちます。インプラントが骨と接合する期間は、下顎ではおおよそ2~3ヶ月、上顎では4~6ヶ月です。※個人差があります。
4.インプラント埋入手術(2次オペ)
1次手術後、顎の骨とインプラントがしっかりと結合したことが確認できたら、埋め込んだインプラント体の上部を出し、人工の歯との連結土台を装着する手術を行います。
2次手術後、歯ぐきが治るまで、約1週間から6週間経過を観察します。
インプラントが周囲の骨としっかり結合した後、2次オペを行います。
埋め込んだインプラント体の頭の部分を露出させ、そこにアバットメントと呼ばれる人工の歯との連結土台を装着する手術を行います。
5.人工の歯を装着~インプラント治療完了
2次手術の傷口が治りましたら、インプラント体に被せる歯を作製します。
歯ぐきが治ったら、型を採ってインプラントに装着する人工の歯を製作します。
インプラントに人工の歯を装着し、治療完了です。
Q&Aよくある質問
- インプラントの手術は痛みがありますか?
- インプラント治療は、手術前にしっかりと局所麻酔を効かせてから行いますので、治療中は痛みもなく、安心してお受けいただけます。
- 治療費はどれくらいですか?
- インプラント治療は自由診療ですので、保険適用外となります。
皆様のお口の状態や使用するインプラントの本数、インプラントに装着する人工歯の種類によって費用は異なりますので、詳しくは、スタッフにお気軽にご相談下さい。
(参考目安:インプラント 1本 = 35万円~)
- 治療期間はどれくらいですか?
- インプラント治療に要する期間は、一般的に上顎治療で約4~5ヶ月、下顎で約3~4ヶ月が必要です。患者様によって個人差がありますので、目安より延びる場合もあります。
- インプラント治療は誰でも受けられますか?
- インプラント治療はほとんどの方に施術可能ですが、皆様の全身の状態、顎の骨の状態によっては治療に適さない方もおられます。
<インプラント治療が出来ないケース>
・顎の骨が少ない、または骨の質がインプラント治療に適さない場合
・手術中にお口が十分に開けられない方や、横になることが難しい方
・重度の糖尿病、心臓疾患、血液疾患、重度の骨粗鬆症などの方
治療を受ける前のカウンセリングで詳しくご説明いたします。
なお、顎の骨が少ない方の場合、インプラント治療前に、顎の骨を増やす手術をする場合もあります。
- インプラント治療が終わったあとは?
- インプラント治療が終わった後、埋め込んだインプラントを長持ちさせるためにはしっかりと継続してお口のケアが必要です。インプラント周辺が汚れてしまうと、顎の骨に炎症が起き、骨がやせて最後にはインプラントを抜かなくてはならなくなります。
ご家庭でのセルフケアだけでなく、定期的に当院でメインテナンスを行い、健康な状態を維持していきましょう。
Comparison他の治療法との違い
-
インプラント
-
治療法
歯が抜け落ちたところの歯槽骨にインプラントと呼ばれるチタン製の歯根に人工の歯を埋め込む治療法です。
-
メリット
- ・周りの歯への負担が少ない
- ・見た目は天然の歯と違和感がない
デメリット
- ・自由診療のため治療費が高額になる
- ・治療期間が長い
-
ブリッジ
-
治療法
ブリッジとは、なくなった歯の両隣の歯を削って橋げたとし、そこに橋を渡すように人口の歯をかぶせる治療法です。
-
メリット
- ・保険適用で治療費を抑えられる
- ・天然の歯に近い使用感で、違和感が少ない
デメリット
- ・健康な歯を削る必要がある
- ・削った歯が虫歯や歯周病になるリスクが高まる
-
部分入れ歯
-
治療法
部分入れ歯とは、なくなった歯の隣の歯に金属などのばねをひっかけて固定する治療法です。
-
メリット
- ・保険適用で治療費が抑えられる
- ・条件が厳しくなく、多くの場合で治療が可能
デメリット
- ・固定のばねが目立ち、見た目が悪い
- ・装着に違和感があることが多い
-
総入れ歯
-
治療法
総入れ歯とは、歯が一本も残っていない場合の治療法です。プラスチックの土台に人工歯が固定されており、それを歯茎に装着します。
-
メリット
デメリット
- ・歯茎が痩せるため、数年ごとの作り替えが必要
- ・装着の違和感、話しにくさがあることが多い
Caution治療の注意点
インプラント治療は外科手術であるため、治療を受けるには全身の健康状態が良好である必要があります。また、治療期間は長く、保険適用外のため治療費は高額になりがちです。
治療の条件は、治療予定の場所に骨がしっかりとあることです。骨が足りないとインプラントを埋め込むことができないためです。骨が足りない場合は、骨移植手術を受ける必要があります。
治療後についても、毎日のケアが不十分であったり、定期的なメンテナンスを受けていないことで、インプラント周囲炎になる恐れがあります。インプラント周囲炎は、自然に治ることはないため、歯科医院で適切な処置を受けることが必要です。炎症が進行している場合は、インプラントを摘出する必要があったり、インプラントが突然抜け落ちてしまうことがあります。
インプラント治療によってこれらのような問題が起きないよう、正確な診断と定期的なメンテナンスが必要です。